2009/12/27

腐った卵

「システムが自分を支えてくれる」というのは幻想だ。

良い学校、良い会社に入っても、自分が何者でもなければ、「人材」としての顔のない私をシステムに売る時の管理番号を得るだけのこと。

所詮、自分で笑う力の無い奴は、TVを消したら退屈でたまらくなるのと同じだ。

「富国強兵」や「殖産興業」などという目標が高らかに謳われていた頃と、行く先を失い、舵の折れた船のようになっている現在の日本の政治はどちらが正しいのだろう。

右肩上がりを続けた高度成長を遂げた時代や、皆が浮かれたバブルの頃の経済状態は幸せだったのだろうか。

教師が尊敬され、あらゆる指示が徹底していた戦前の学校と、教師が軽んじられ、いじめや不登校がある戦後の学校ではどちらが過ごしやすいだろう。

私は何をとっても、明らかに現在の方がマシだと思っている。

これまで安全だ、絶対だ、と思っていた価値がいかに当てにならないものであるかが、はっきりわかったのだから。

過去の目標や成長や秩序は、すべて偽物であり、現在の混沌こそが真実なのだから。

楽園と同時に神を失った人が、エデンの東に作り上げて来た都市という「システム」の壊れた核が露わにされるだろう。人間は「近代化」とともに人間性を失っていくのではない。人間性そのものが神から離れた時点で壊れていたのである。

「システム」のせいではない。「卵」はひびが入る前から腐っていたのだ。

2 件のコメント:

  1. ご指摘の通り、意識しなければ気付かないうちに「人材」である自分を「自分の個性・生き方」と思わされてしまう、そういう仕掛けが見事に作られている、と思う。
    それは「壊れやすい」以上に「腐りやすい」卵だからでしょう。

    2009年は私にとってよい一年でした。
    Salt氏の戯言(失礼)の一つ「絵を描いてみたら、リコーダー講座の後、みたるで。」に、ちょっと心が…^^

    何に価値を見出していくか、で今後は決まるな~。

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  2. システムに貼り付けてもらったレッテルに満足してる間は、絶望にさえ届かない。また、それを他人のシステム上のランキングを羨んでいるのはいっそう情けないと思います。

    個性や生き方なんてのは、ニコデモが生まれ変わってからのことであって、有能な律法学者であることなんて、本当は個性でも生き方でもないと思うのです。彼が人目を避けてこっそりイエスに会いに来た理由は何でしょうか。

    ニコデモは満たされていなかった。システムにこだわり、自分という卵の殻を壊せずにいた。そこをイエスは突かれたわけです。

    必要なのは、殻に閉じこめられた旧いいのちを守ることじゃない。マリヤが香油のつぼをわったように、十字架の下で自分の殻をわって復活のいのちを得ることなのでしょう。

    戯言・・・・Y.B.M氏のとこにも書かれてたなあ。今後も気になる戯言を囁き続けることにしましょう。

    銀じ郎氏の絵、楽しみです。昔、冷蔵庫に貼り付けてあった謎の人物画(もしかして自画像)は迫力がありましたよ。

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