2009/12/02

山崎豊子作品に想う

テレビでは「不毛地帯」、映画館では「沈まぬ太陽」と、山崎豊子作品が話題である。いずれもベストセラー小説の映画化であり、ノンフィクションに近いフィクションだということだ。彼女の小説手法にも文章にもあまり感心はしないが、内容はけっこう面白い。「白い巨塔」「華麗なる一族」に続き、「不毛地帯」も欠かさずチェックしている。

主人公である壱岐正と恩地元には共通点がある。いかなる苦境に立たされても己の信念を貫くその無骨で真摯な生き方である。その生き方ゆえに組織や家族との様々な葛藤を招くが、ここがまた共感を呼ぶところなのだろう。

彼らと同じように苦しい立場に追いやられる人は多いが、どんなに追いつめられても妥協しない人はそういない。どっこい、「私は妥協していない」とけっこう胸を張って言える。勿論、逆らってばかりいるわけではないが、肝心要の場面で、己の信念に恥じるような選択はしていない。その分、思いっきり辛い目にも会ってきた。でも、それは立派なこととではない。それ以外には道はなかったからだ。映画「沈まぬ太陽」の中で、「お父さんは波に逆らってばかりきたから」と言う息子に、「いや、波に乗っている奴の方が辛いのかも知れない」と恩地が語る場面があるが、全くその通りなのだ。

学校や教会というところは、近畿商事や国民航空に負けず劣らずめんどうな組織である。波に乗っている人たちは、私にはかわいそうにしか見えない。「己の身を守り、欲を満たし、名を上げる」というベクトルは、上昇ではなく脱落への助走なのだから。

この世においては、正義の道は必ず十字架に行き着く。しかし、キリストともに死ねば必ず復活が約束されている。信仰がない人たちにとっても、原則は同じなのである。

信仰のある人たちにとっては、文字通り。仕事の中にも、「死」にこそ「勝利」がある。この世の仕事を嫌う「自称献身者」たちには味わえない醍醐味がこの世の仕事の中にあるのですよ。残念!

いずれにしても、毛は生えていて欲しいし、太陽は燦々と輝いていて欲しいよね。

6 件のコメント:

  1. 逆境の方が安全で成功が下り坂である事を知っている人は少ないですね。

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  2. ちょっとニュアンスが違うかな。

    成功もありですよ。可能な限りうまく立ち回って大いに成功しましょう。逆境は少ない方がいいし、避けられるものなら避けるべきです。

    ただし、どうしても譲れない局面は、避けられない衝突は、逃げ回ってもいずれやってきますが・・・・。

    要は、何を「成功」と見なすか、「動機」は何かってことですね。

    最近は「逆境」を「逆境」と感じないことを目標にしています。「聖なる鈍感」ってか?!

    少し前の「それぞれの世」のLukeさんのことばの引用にもありますが、「神の愛を無にする逆境」ならアウトだし、「神の愛を無にしない成功」ならOKです。クリスチャンには「逆境」に酔うM系の人もけっこう多いので要注意。

    私は出来るだけ、ひっそり、のんびりいきたいです。出来れば主要な方々からは忘れ去られていたいのです。

    隠れたところで、こっそり楽しみます。

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  3. 簡略化を意識しすぎてちょっと乱暴な表現をしてしまいました。

    Saltさんの記事を理解しているつもりではいますが、短いセンテンスで表現したかった事は、「人間は、成功すると調子に乗る」という事です。それも自分のコントロールが利かない事が多い!もちろんあらゆる領域で成功はしたいし、逆境は少なくひっそりと静かに暮らしたいですね。「成功の定義」と「動機の置き所」が全てです。

    実は上の短いコメントは自分への自戒でもあるのです。

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  4. 私は成功しなくても調子に乗ってるので、常に要注意です。でも、同じ調子に乗るなら成功して調子に乗りたいなあ。

    この世で大成功しても、イエスの魅力に比べれば屁みたいなものなんですが、「成功するために神様を信じましょう!」っていうのが問題ですね。

    毎日楽しいけど辛いですよ。死ななきゃアホ臭くってやってられません。

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  5. まあ、元々生まれたこと自体が不条理なわけですから。十字架を知らなかったら、自殺しなくてはならないわけですが、すでに死んでいた事実はありがたいことでした。

    残された地上の時間、どのくらいか分かりませんが、十分に楽しみましょう。

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  6. イエスが私たちの代わりに自殺してくださっていたわけですね。

    「私は自分からいのちを捨て、それをもう一度得る権威がある。」

    このみことばには、本当に度肝を抜かれました。

    もっともっと楽しみましょうね。

    いくら楽しんでも、この御方が支払ってくださった代価に見合いませんが。

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