2010/01/31

無縁死

NHKで「無縁死~3万2千人の衝撃」という特集をやっていた。血縁、地縁、社縁の絆が弱くなり、無縁社会が加速化している。

生きているときも存在感がなく、死んでいることにさえ気づいてもらえない人がいる。誰にも泣いても葬ってももらえず、実の子どもが遺骨の引き取りさえ拒否するケースも少なくない。

もっとも親密であるはずの家族でさえそうであるなら、集合住宅のたまたまの隣人や利害でつながった仕事上の同僚や顧客との関係性には、身を委ねて寄りかかれるわけもなく、それが安心感を感じられる温かいものであろうはずもない。

そんな中で一人寂しく死んでいく人の周辺整理をする特殊清掃を請け負うNPOが急増していると言う。

そんな無縁死を恐れて生きているうちにそうした団体に会費を納め契約書にサインをするとき、人は何を思うのだろう。

「いのち」を連呼した首相の空転演説の挿絵としては、あまりに皮肉が効きすぎている。

こうした絆や結束が弱まった世界に人は耐えきれない。まともな家族やなかまを持たなかった人たちは、そうした疑似家族的で過度のコミットメントを要求する集団、すなわちヤクザや宗教団体などに所属して安心を得ようとする傾向が強くなるのだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿