身内とはどこまでの範囲なのか。
戦争にボロ負けして、現人神であった天皇は人間宣言をし、天皇を中心とする「おらが国」の身内意識は崩壊した。
産業構造が大きく変わり、過疎化による若年層の都市への流出によって、地域の共同体の秩序は失われ、「おらが村」の身内意識は崩壊した。
企業における終身雇用は崩れ、生き残りをかけた相次ぐ統廃合によって、「おらが会社」の身内意識は崩壊した。
これらの崩壊した身内意識の中には、いくらか滅私奉公という要素があった。
しかし、ただ自分が身を寄せる大樹として選ぶ集合の中には、良質な意味での身内意識は生まれようがない。
そして、本当の身内である家が崩壊している。
良くも悪くも、この終わりの時代、人は剥き出しの個人として孤独に曝されている。
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