最近はあまり聞かなくなったが、若い世代を中心に「空気読めない」を意味する「KY」ということばが流行っていた。
この「空気」は大きな組織ではなく、もっと小さな同質グループにおける「空気」を指している。
「KY」は、仲間内の調和を乱すメンバーに反省を促す記号である。ある人に「KY」というレッテルを貼り付けるとき、その場の雰囲気や話題の流れや落ち着きどころを無視した言動に対する批判が込められている。逆にその空気を読み、その範囲の中で言動を治めていれば「浮く」ことも「はみ出す」こともなく、居場所を確保できるというわけだ。
実に嘆かわしいことだが、彼らはこうして誰かと一緒に「よどんだ空気」に包まれていることによって取りあえずの身の置き所を確認しているのである。そこにしか居場所のない脆弱な若者はその群れに属し続けるストレスをKYな弱者を攻撃することで発散する。
空気を読まないメンバーを排斥することによって、グループ内の空気をより均質で強いものにしようという力が働くのである。
私が「風」にこだわるのは、こういう「空気」を嫌悪するからなのだ。風を感じるには、外に出ること、少なくとも大きく窓を開けることが必要だ。
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