2011/01/14

ダーティーな大人ばかりじゃ・・・・


道徳の時間に、全国に広がる「伊達直人ブーム」を取り上げた。毎日新聞と奈良新聞の記事をテキストに内容を噛み砕いて説明しながら、全文を紹介した。

子どもたちも熱心に聴いていたが、伊達直人の行為は理解できても、なぜみんな伊達直人なのかがどうもわからないようだ。伊達直人の人物像がイメージ出来ないのだ。

「タイガーマスクを知らなくても、君たちの大好きな○○みたいなものだ」と言えればいいのだが、その○○にあたる存在がいない。

そこで、授業の後半では、カッコいいと思う漫画やアニメのヒーローやヒロインについて聴いてみたが、聴いて愕然としたのは、ほとんどが「思い当たらない」「特にない」という答えだった。こういうとき、私は子どもたち全員に必ず答えさせるのだが、予想した以上にさびしい答えだった。

夜の職員室で、現代の人気漫画「ワンピース」の話になった。20代のある先生は、「ワンピースは面白い」と言っていたが、私の感性には正直言って何ひとつ訴えてくるものがない。まず、「主人公ルフィが悪魔の実を食べたから特殊能力を持っている」という設定そのものが納得出来ない。「虎の穴で鍛えに鍛えたから強くなった」というようなプロセスが欠落しているからだ。

最近は動機の希薄な物語が多い気がする。だから、主人公の人格を感じ取らせる背景が丁寧に描かれることもない。主人公はただ意味無く強かったり、ラッキーだったりする。その他の登場人物のキャラクターも絵は派手だが中身が薄っぺらなことが多い。

「かっこいい」「あんなふうになりたい」と思うモデルが見当たらないのは、何ともさびしすぎる。周りが「ダーティーな大人」ばかりじゃ、子どもが夢を失うのも無理はない。

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